Symptoms 虫歯が引き起こす症状
虫歯は風邪のような身近で軽い疾患と思われがちですが、まったく違います。一度罹患すると自然完治することがないからです。初期の虫歯は丁寧なブラッシングと定期的なクリーニングで症状を抑えられますが、エナメル質に穴が空くとセルフケアでは対応できません。そのまま治療を受けないでいると、細菌が神経を侵し、激しい痛みが現れます。
虫歯による症状は歯や歯ぐき周辺だけではなく、顎や頭の痛み、副鼻腔や肺の炎症にまで至ることがあります。また、虫歯が重症化するほど治療費や通院回数が増えますので、何よりも早期発見・早期治療が重要になってきます。
TREATMENT 虫歯の段階と治療法
-
初期虫歯
いわゆる初期虫歯の状態です。穴はなく、歯の最も外側のエナメル質が白濁しています。歯の溝が茶色に染まっていることもありますが、痛みもなく、ほとんど見た目の変化もない状態です。
症状 痛みなし。歯の表面の白濁。 治療法 歯みがきを入念にしてフッ素を使用すれば、再石灰化作用を得て、歯質を正常に戻せる可能性があります。フッ素やハイドロキシアパタイトを含有する歯みがきを使うのも有効です。自然治癒が望めない場合もありますので、できるだけ早く受診し、なんとしても虫歯の進行を防ぎたいものです。 -
エナメル質の虫歯
穴が空いているのが確認でき、エナメル質が溶けてしまっています。内部に細菌が進入しており、丁寧な歯みがきやフッ素使用だけでは、健康な歯質に戻すことができません。痛みや違和感などの自覚症状はこの段階ではほとんどないので要注意です。
症状 たまに歯がしみることがあります。 治療法 虫歯の部位を削って、詰め物(インレー)で埋めて、しっかりと噛めるようにします。基本的には、コンポジットレジン(樹脂)などの白っぽい素材を詰めて治療します。まだ浅い虫歯なので、小さい穴の処置である限り、麻酔は使用しない場合がほとんどです。治療の痛みはほとんどなく、来院回数も1~2回で終わります。 -
象牙質に達した虫歯
虫歯がさらに奥の象牙質まで達した状態です。象牙質はやわらかく、虫歯の進行はいっきに加速し、穴も拡大します。神経近くまで達すると、冷たい食物や甘いものがしみたり、痛みを感じたりするようになります。
症状 歯がしみる、甘いものを食べると痛みがあります。 治療法 虫歯になった部分を削るには局所麻酔を使います。次に型をとります。この時、神経に近い場所まで深く削った場合は神経を保護する薬を塗り、詰め物をします。複数虫歯がある場合は歯を大きく削り、被せもの(クラウン)を被せることもあります。治療回数は3回くらい。保険や自費によって補綴物の素材は異なります。 -
神経に達した虫歯
象牙質の中にある歯髄にまで細菌が及んでいます。歯髄には血管や神経が含まれているため、炎症によって激しい痛みや知覚過敏が生じたりします。歯髄炎と呼ばれる症状で、たいていの場合、激しい痛みを感じます。
症状 冷たいものがしみる、強い痛みがある。 治療法 局所麻酔下で細菌に感染した歯髄を取り除く根の治療をします。これを根管治療と呼び、感染した根を消毒します。4~8回に治療を分けて膿を出します。次に神経を取り除いた歯に土台を作って補強します。その後にメタルもしくはレジン(プラスチック)でクラウンを作製し、被せます。治療期間は通常1〜2カ月です。 -
歯根に達した虫歯
歯冠がほとんど残っていない虫歯の最終段階です。虫歯菌によって神経が侵されており、ほとんどの場合、抜歯になります。抜歯後はブリッジや入れ歯、インプラントでの治療となります。
症状 自覚症状なし、噛むと痛みがあります。 治療法 根管治療をして神経をできるだけ残すよう努力します。残せる場合は、根管治療の後、被せ物を入れます。難しい場合は抜歯を行います。抜歯後は、残存歯や歯槽骨の状態、患者様の意向に応じて、ブリッジまたは入れ歯、インプラントの選択肢の中から選んでいただきます。
痛みに配慮した治療
歯科医院での治療は痛みを伴う辛いことである、というイメージが一般的かと思いますが、当院では、痛みをできるだけ少なくした治療を重視しております。治療前のカウンセリングで、以前の歯科治療でのご様子などをお聞きして患者様の状態を把握した上で、以下の器具を用いて「痛みに配慮した治療」を行います。
-
表面麻酔
塗るタイプのゼリー状の麻酔薬です。歯ぐきの表面に薬を塗布することで、麻酔注射をする際の痛みを和らげます。
-
極細の注射針
針が太いほど穿刺した時の痛みは大きくなります。当院では極細の注射針を使用し、痛みを可能な限り抑えています。
-
歯科用電動注射器
注射をする時、麻酔液を注入するスピードが一定でないと痛みの原因となります。電動注射器を使用すると、一番痛みを感じにくい速度で麻酔薬を注入することができます。
根管治療について
歯髄が炎症や感染を起こした時に行う根管治療では、傷んだ歯髄を除去して、根管を注意深く清掃し、 再度の感染を防ぐために根の中に詰め物をします。大変重要な治療ですが、取り残しや唾液に含まれる細菌の侵入が原因で、後から腫れや痛みが出るなどの再発を繰りかえす例も少なくありません。
当院では、再発を防ぐためにラバーダムを使用して、治療する歯のみを隔離し、唾液や浸出液などの細菌の侵入や器具の誤飲などを防ぎながら処置を行っています。
MERIT ラバーダムを使用すると…
-
唾液中の虫歯原因菌や歯周病菌の
患部への感染を防ぐ -
唾液のない状態で
治療部位の消毒が徹底できる -
水分・湿気を遮断して被せものや
詰め物の接着を
徹底できる -
ラバーダムにより漏出を防ぐので、
殺菌力の強い消毒薬が使用できる